素晴らしい眺め
北海道 旅行で訪れた渡島大島の山頂部はカルデラ。
寛保岳はその中に噴出した中央火口丘。
今私が肩にとりついた尾根は、実は清部岳とともにこれの外輪山の一部をつくっでいるのである。
そのカルデラが、いっぺんに眼にとびこんできたわけであった。
江良岳は、もう一つ外側を囲んでいた古いカルデラの残骸だといわれている。
これと清部岳が頂上まで草に覆われているのに対して、寛保岳はまだ、赤褐色から黒褐色の肌がナマナマしい。
形も整った富士山型である上、水蝕による放射谷もガリも全くなく、すべすべした肌が美しい。
その生地の褐色とようやくそれをうっすらと覆いはじめている短い草の緑とが、緋模様よりもっときめ細かく微妙に混り合って、全体として茶がかってくすんだオリーブ色を呈しているのが印象的だ。
火口原の手前のほうでは、流下してきた火山灰がその都度踏み止まった跡らしいモコモコとした起伏が、明るいパロットグリーンの中にかすかな騎りを浮き出させ、遠くでは北海岸へ向かう熔岩流の源流部が、その上にオリーブ色のまだらをボチョボチョと載せていた。
外輪山は、褐色と緑と灰色とに無秩序に彩られたピーク群の、ガクガクとした連なり。
一切の人工物が、細々とした踏み跡すらも、そこにはない。
利尻山と同じぐらいの大きな山体をもちながらその大部分を海中にかくし、ほんの頭の先だけを海上に出しているこの火山は、今もきびしく人手を拒絶しているのだ。
その無垢の姿が、今、眼の前にあるのだった。