キモノとドレス
欧米のデザイナーと日本のデザイナーの違いは何でしょう。
それは当然のことであるが、ドレスに対する感覚の違い、つまり客が求めるものの違いですね。
キモノから出発し、戦後になって洋服が日常着になり、さらに最近やっとパーティや特別なフォーマルな機会にもドレスを着るようになった日本と、ドレスしかない欧米、つまり洋服が民族衣装でもある国々とは考え方が違うのは当然ですね。
日本では、ふだんは洋服を着ていても、特別のときにはキモノにすればいいとか、中年になったら、夫の収入が増えたらキモノにしようという考え方がいまもあります。
それゆえ、自分にどんなドレスが似合うかということを突きつめて考えないですむ。
みすぼらしく見えなければいい、いい店で買ったものならいい、有名なデザイナーのものならいい、ブランド品なら安心、と考える人が多い。
つい先日も、古い知り合いがどう見ても似合わないマタニティウェアのようなドレスを着ているので、率直に「どうしたの、そのドレス?」と訊いたら、彼女いわく「いいでしょう、このドレス。ヨージ・ヤマモトよ。パリ旅行で。ハーゲンで買ったのよ」。